藪医ふらここ堂2019/10/11


藪医ふらここ堂

「藪医ふらここ堂」 朝井 まかて・著 講談社文庫
江戸は神田三河町の小児医・天野三哲は、「面倒臭ぇ」が口癖。朝寝坊はする、患者は待たせる、面倒になると逃げ出す、付いた渾名が「藪のふらここ堂」。
ところがこの先生、実は凄腕。三哲に振り回されながらも診療を手伝う娘のおゆん、弟子、ご近所さんたちの日常。
ふらここはブランコのことです。家(病院)の前にあって、子どもたちが遊べるようになっています。仮宅を建てたりすることもあるから、かなり広いスペースがありのかなと思いました。病気の治療のことも出てきますが、 ご近所同士のつながりが興味深いです。薬屋の手代は、奥さんがいなくて、まだ小さい子どもがいるから、みんなであずかってあげて、食事も用意してるし、産婆のおばあさんが、いつも家に上がりこんでいて、一緒におやつを食べていたり、家族がいなくても、寂しくない環境があります。おゆんも、小さい頃にお母さんが亡くなっていて、近所の幼なじみのお母さんが育ててくれたようなものでした。だから、血はつながっていなくても、家族のように思えます。そういうつながりが希薄になった現代なので、皆が孤立してしまい、虐待や孤独死に気がつかない世の中になってしまったのだと思います。人情ものって、昔の日本を感じさせます。