散り椿2018/10/01


散り椿

「散り椿」 新宿ピカデリー
享保15年。藩の不正を訴え出たために藩を追われた瓜生新兵衛(岡田准一)。追放後も連れ添い続け、病に倒れた妻・篠(麻生久美子)は、死の床で最期の願いを新兵衛に託す。それは、新兵衛のかつての友にしてライバルであり、藩追放に関しても大きな因縁を持つ人物・榊原采女(西島秀俊)を助けてほしいというものだった。妻の願いをかなえるため故郷へ戻った新兵衛は、采女と対峙する。過去の不正事件の真相や妻の本当の思いを知る新兵衛だったが、その裏では大きな力が彼を襲おうとしていた。
原作を読んでいましたけど、原作のイメージをくずさずによくできた映画でした。なんといっても日本の美をじっくり見せてくれます。木村大作監督イズムがふんだんに楽しめます。モントリオール世界映画祭で、審査員特別賞を受賞したそうで、日本の良さをわかっていただいたような気持ちでうれしいです。
風景、花、雪、雨、月など自然の美しさと、人物の配置など、構図がとても考えられています。殺陣もかっこよくて、岡田准一クンかっこよかったです。
出演者も豪華で、役にぴったりでした。原作と役の設定とはちょっと違うところもありましたけど、葉室麟ファンの人にも満足してくれる内容なのではないでしょうか。
美術好きな人にも楽しめるのが、長谷川等伯の絵(屏風)が出てくるところです。美術協力と最後に出てくるので、本物なのかなと思うのですが、1つはボストン美術館から借してもらったのでしょうか?他の絵では、前にロウソクを灯しているシーンがあるのだけど、良いの?とハラハラしちゃいました。しかし、この時代はこのように絵が飾られていたのかもしれないとしみじみと思いました。
そういえば葉室麟の「乾山晩愁」という本の中に長谷川等伯のことを書いた話がありました。映画は原作者で2017年12月に亡くなった葉室麟に捧げられています。
雪や雨がそんなに降らさなくてもというほど降っていましたけど、それも美へのこだわりでしょう。原作よりも、夫婦のラブラブな感じが強かったです(笑)。
そして、映画を見に来ている客層の年齢は高めでした。

★★★★☆ 4+

以下は出てくる長谷川等伯の屏風

《龍虎図屏風》 ボストン美術館所蔵

《松に秋草図屏風》

《萩芒図屏風》