離れ折紙2018/03/27


離れ折紙

「離れ折紙」 黒川 博行・著 文春文庫
フリーのキュレーター(博物館や美術館の企画や運営などをする知識を持っている専門職)の澤井は、大物建築家の未亡人に請われて、美術品の鑑定に出向いた。そこで見つけた硝子のレリーフは価値のあるものだったが、割れている。貰い受けて、修理を試みるが……。
短編形式で、同じ登場人物も出てきたりする話でしたが、古美術界を舞台に、欲に絡んで、騙そうとしたり騙されたりする話でした。単価が高いので、失敗した時の損失も膨大です。贋作も多く、見極めも難しいです。古美術には手を出せないなぁと思いました。
タイトルの折紙は、刀剣の鑑定書のことです。江戸時代、刀剣の極所として本阿弥光徳が発行した鑑定書が2つに折ってあったものらしいです。
実力者のことを「折り紙つき」と言ったりしますが、これからきているのですね。
タイトルは離れ折紙となっているのは、鑑定書は本物でも、品物とは離れている場合があるということですね。由緒正しい鑑定書でも、本物に付いているとは限らないということでしょうか。欲にかられた人々がたくさん出てくるので、面白いとも言えなかったですが、古美術業界のことを、ちょっと覗いた気分でした。