地下鉄(メトロ)に乗って2016/12/15

地下鉄に乗って
「地下鉄(メトロ)に乗って」 浅田 次郎・著 講談社文庫
主人公の小沼真次は、女性用下着を売り歩くセールスマンだが、真次の父親である小沼佐吉は、世界的に有名な「小沼グループ」の創立者。母や兄に対して傲慢な態度をしめす父に反発し、真次は高校卒業後に、家を飛び出し、父とは絶縁状態。
ある夜、永田町駅の地下鉄の階段を上ると、30年前(1964年)前の風景が広がっていた。そこで真次は、在りし日の兄を目撃する。更に、若かりし頃の父のことを知っていく。愛人であるみち子と共に、過去と現代を行き来しながら、家族の歴史を目撃する…。
映画化されたし、浅田次郎さんの初期の代表作でもあるので、知っている方も多いと思いますが、私は初めて読みました。
地下鉄がきっかけになったり、夢に見たりして、自分の知らなかった父のことを知っていく、そこには知りたくなかった悲しい過去の話もあります。過去はひとつの時代ではなく、戦後の闇市や、戦争中、更にその前まで、順番通りではなく、意志とは別に急にトリップしてしまいます。東京の地下鉄を歩きながら、想像が膨らんでできたような不思議な話でした。