手紙は憶えている2016/11/10

手紙は憶えている
「手紙は憶えている」 TOHOシネマズシャンテ
妻の死も覚えていられないほど、物忘れがひどくなった90歳のセヴ(クリストファー・プラマー)は、友人のマックス(マーティン・ランドー)から1通の手紙を託される。2人はアウシュヴィッツ収容所の生存者で、家族を殺したナチス兵士への復讐を誓っていた。兵士は身分を偽って生きていて容疑者は4人にまで絞られている。身体の不自由なマックスのためにも、セヴは1人で施設を抜け出して、おぼろげな記憶を頼りに、何度も手紙を読み返しながら、敵を探し始める…。
老人が悪人を探す旅に出るというサスペンスで、ハラハラするのかと思ったら、ゼヴの惚けぶりに、大丈夫なのかとそっちの方がハラハラしてしまう内容でした。一度眠るとその前の事や、妻が亡くなったことを忘れてしまうのです。妻の死を知って何度も悲しむし、認知症本人の大変さが感じられました。「メメント」みたいに、忘れながらも、だんだん核心に近づいていくのだけど、そこに待っていた結末にも驚きがありました。
若い頃の回想シーンなどは全くなくて、ヨロヨロと歩きながら、目的を達成しようとする主人公。ボケ老人役がなんてうまいのでしょう。混乱したり、時々キリッと受け答えしたりもします。演じるクリストファー・プラマーは「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐役だったから、若い頃の写真が出るとそっちを思い出してしまいました。
監督は、アトム・エゴヤン。「白い沈黙」に続いて、今作も良かったです。好みは分かれるかもしれないけど。

★★★★☆ 4-