怒り2016/09/19

怒り
「怒り」 TOHOシネマズ新宿
夏の暑い日、八王子で夫婦惨殺事件が発生。現場の壁面には「怒」という謎の血文字が残されるが、整形した犯人の行方は杳として知れない。一年後、東京、千葉、沖縄に素性のわからない三人の男が出現する。
千葉の漁港。家出して風俗店で働いていた愛子(宮崎あおい)は父親(渡辺謙)に連れ戻され、漁港でアルバイトをしている素性がはっきりしない無口な青年・田代(松山ケンイチ)に惹かれていく。
ゲイのサラリーマン優馬(妻夫木聡)は新宿のサウナで直人(綾野剛)と出会い、意気投合して同棲する。
沖縄の無人島で、高校生の泉(広瀬すず)はバックパッカーの田中(森山未來)と知り合い、親しく話すようになる…。
現代日本を代表する演技派の俳優さん達が、体当たりで挑んでいます。
吉田修一の原作は読んでいないですが、現実に起きた千葉県市川市の“リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件”を基にしていることが、随所に感じられました。整形して長いこと逃避行を続けていたから。しかし、他の事件も混ざっている、現代が抱える問題も、散りばめられています。3つのオムニバス風の群像劇となっています。その見せ方、構成がみごとで、見応えのある映画になっています。誰もが怪しく、公開捜査の写真に似ているように思えます。人を信じることの難しさをヒシヒシと感じました。辛さ、キツさはあるものの、救いもありました。

★★★★☆ 4