海よりもまだ深く2016/08/31

海よりもまだ深く
「海よりもまだ深く」 船堀シネパル
15年前に文学賞を一度受賞したものの、その後は売れず、作家として成功する夢を追い続けている中年男性・良多(阿部寛)。現在は生活費のため探偵事務所で働いているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。
愛想つかされた元妻・響子(真木よう子)への未練を引きずっている。満足に養育費も払えないくせに、響子に新しい恋人がいることを知り、ショックを受けている。ある日、団地で一人暮らしをしている母・淑子(樹木希林)の家に集まった良多と響子と11歳の息子・真悟は、台風で帰れなくなり、ひと晩を共に過ごすことになる。
冒頭から、阿部寛さん演じるダメ男っぷりに、ちょっとあきれる。主人公なのにダメ男、おまけにプライドは高い。どこかに良いところがあるのではないかと、探してしまうが、みあたらない。年老いている母(樹木希林)を労わるどころか、お金をたかろうとしている。本当はこんなはずではなったと思っているのだろう。ままならないのが人生なのだ。嵐の晩に失ってしまった家族の時間を少しだけ取り戻して、それぞれが前に進んでいくのだろうと感じられる。どうにもしょうがない男だけど、最後はちょっと爽やかな気持ちになって映画館を出ることができた。阿部寛も上手だけど、樹木希林さんはやっぱり良いなぁ。ハナレグミの音楽もこの映画にピッタリとあっている。

★★★★☆ 4-

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