Spice -映画・本・美術の日記-

「ラスト・イニング」　あさの　あつこ・著　角川文庫
「バッテリー」の最終巻（6巻）のラストの試合のことと、その後の話を、ライバル校の瑞垣の目を通して語った続編のような本。「バッテリー」シリーズを読み終わった後に読まないと、わかりにくいです。
高校生になって野球を辞めた瑞垣。巧との対決を決意し、推薦入学を辞退した門脇。巧たちは試合の時、中学1年だったからこの時点で、2年になったところ。瑞垣というのは、かなり個性的で、おしゃべりで軽いように見えて、かなりの頭脳派。回想的に最後の試合がどうであったかが、わかるようになっています。
シリーズを読み終えて、モヤモヤした人もいると思うのだけど、それを解消してくれるような内容だと思います。もっと、その後の事も知りたくなりますけど。
他に2編が収録されています。巧の弟・青波の話「空との約束」と「バッテリー」1巻目の内容のちょっと前からの事を、キャッチャー豪の側から語った「炎陽の彼方から」。特に後者が興味深かったです。巧に会ったことで、豪や門脇の人生は変わってしまったのかもと思いました。でも、巧だけが天才だというのではないです。豪と出会ったことで生まれたバッテリーこそが、最強なのです。バッテリーがタイトルになっているので、わかっているつもりだけど「ラスト・イニング」を読んで改めて思いました。