カルテル・ランド2016/05/04

カルテル・ランド
「カルテル・ランド」 ユーロライブ(試写会)
メキシコ、ミチョアカン州の小さな町の内科医ホセ・ミレレスは、地域を苦しめる凶悪な麻薬カルテル「テンプル騎士団」に対抗するべく、市民たちと蜂起し、自警団を結成。一方、アリゾナ砂漠のオルター・バレーでは、アメリカの退役軍人ティム・フォーリーが、メキシコからの麻薬密輸を阻止する自警団「アリゾナ国境偵察隊」を結成。
ミレレスらの自警団は、勢力を拡大していくが、やがて麻薬カルテルとの癒着や、組織内の対立を生む。
2006年から続くメキシコ麻薬戦争の最前線をとらえたドキュメンタリー。
スタッフは、戦場カメラマンと同じで、命をかけて撮影しているところがすごい。
警察は麻薬カルテルを野放しにしているので、町の人々が、武器を取って立ち上がった。それが自警団だ。見ているうちに善と悪は、時に入れ替わってしまうような感覚に襲われる。家族や町の安全を守るための自警団のはずだったが、大きな組織になるとカルテルに似た組織になってしまう。政府は自警団を取り込もうとするが、政府とカルテルは密に繋がっていたりもする。それでも、ただ殺させるのを待つのか、戦って死ぬ方がいいのか。家族を自分で守るのか、あてにならないかもしれない政府(警察)に守ってもらうのか、問題をつきつけられる。
悪人を捕まえてくれる警察を信じられる日本は幸せだと思う。
映画「ボーダーライン」で語られていたことが、本当なんだなと思う。両方見るとわかりやすい。テレビ番組の「クレージージャー二-」(TBS木曜深夜放送)も合わせて見ると良いと思う。

★★★☆☆ 3+

コメント

_ ここなつ ― 2016/05/26 12:40

こんにちは。
ホント、政府(警察)の信用できなさといったら…半端無かったですね。
それどころか自警団でも権力に同化するメンバーがいたり…。
正義が石ころ程の価値もない地域なのだ、と感じました。

_ spice管理人 ― 2016/05/27 00:19

ここなつさん
警察を信じられないというのは、怖いですね。麻薬カルテルと自警団と政府(警察)が、共存していて、平和が訪れることがないのではと思ってしまう。中心となる自警団の2人が、まるで俳優さんのように見えて、よく考えると演技じゃなく現実のことなんだなと改めて驚きました。

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_ 象のロケット - 2016/05/11 16:05

メキシコ・ミチョアカン州では、麻薬カルテル“テンプル騎士団”による抗争や犯罪が横行している。 腐敗した政府と当てにならない警察に業を煮やした医師ホセ・マヌエル・ミレレスは、ついに銃を取り市民たちと自警団を結成する。 一方、アメリカ・アリゾナ州のコカイン通りとして知られるアルター・バレーでは、退役軍人ティム・“ネイラー”・フォーリーが、国境自警団を率いていた…。 ドキュメンタリー。 ≪正義が揺らいでも、悪は揺らがない―。≫

_ ここなつ映画レビュー - 2016/05/26 12:39

メキシコでは年間1万7000人もの人々が、麻薬絡みで殺害されているという。この麻薬戦争のただ中、麻薬カルテルに汚染された地域を、カルテルに対抗して組織された自警団を通して生々しく描く。メキシコシティから1000km超の場所にある、カルテルの根城であるメキシコのミチョアカン州と、ボーダー(国境)近くでカルテルの流入が蔓延しているアメリカのアリゾナ国境地帯とで活動する自警団を各々の視点から描いている。ミチョアカン州の自警団は、カルテル「テンプル騎士団」によって家族や財産を町ごと奪われた人々の手に町を奪い戻す為の自警団であり、アリゾナ国境自警団はカルテルによる移民や麻薬の進入を防ぐ水際対策の自...