ある過去の行方2014/04/28


ある過去の行方

「ある過去の行方」 シネマカリテ
フランス・パリ郊外。アーマド(アリ・モッサファ)は、離婚の手続きのために4年ぶりに自宅へ。妻のマリー=アンヌ(ベレニス・ベジョ)は、新しい恋人がいて、その息子と共に、その家で暮らしているのだが、そこへ泊まるように言われる。母の再婚をこころよく思わない長女のリュシーから、アーマドは衝撃の告白を受ける。マリー=アンヌやその恋人のサミールが背負っているもや、リュシーの苦悩が明らかになっていく、そして真実はどうだったのか…。
監督はイランのアスガー・ファルハディ。「彼女の消えた浜辺」「別離」に続き、すっかり魅了されています。この監督の作品で楽しい話はないのだけど、いつも極上の心理サスペンスなのです。
離婚の正式な手続きをするためにアーマドはやってくるのだけど、すごく良い人に見えます。神経質につっかかってくるのはマリー=アンヌ。終始、攻撃的な感じでイライラしています。離婚する夫を家に無理やり泊めようとするのも、見ている方は、なんでだろうと思います。憎しみだけじゃなく、未練もあるような感じもします。マリー=アンヌを演じているベレニス・ベジョは「アーティスト」の人なんですが、雰囲気が全然違って見えました。
ちょっとわかりにくかったのは、アーマドは娘2人の父親ではないのかなということ。4年前に自分の国のイランに帰って、ずっと別居状態だったみたいです。リュシーらはアーマドの前の夫との子どもみたいなんです。でも、子どもたちは慕っているし、リュシーの気持ちを聞いてほしいとアリー=アンヌはアーマドに頼みます。家族の複雑な関係に、更に母の恋人の息子ファッドもいて、皆がやり場のない気持ちを抱いているのです。幼い子どもたちは、親の勝手にふりまわされているのです。そういう感情表現がみごとです。でも愛情を持っているし、なんとかやっていこうという気持ちがわかって、誰も悪い人には思えないです。

★★★★☆ 4+

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