蝉しぐれ2013/05/09

蝉しぐれ
「蝉しぐれ」 藤沢 周平・著 文春文庫
下級藩士の息子・牧文四郎は、父親に謀反の疑いがかかり、家禄を減らされ、謀反人の子と蔑まされる。幼き頃からの恋や、固い友情、剣術に磨きをかけて成長していく様子を文四郎の気持ちに寄り添って、見守っていくことができます。「蝉しぐれ」は映画やドラマになっていますが、見たことなかったのです。藤沢周平作品の中でも、有名な話だと思っていましたが、こんなに良い話だったとは、知りませんでした。「たそがれ清兵衛」等の世界にも共通していますが、奥ゆかしく真摯に自分の人生に向き合ってゆくところ、日本人の美徳が満載です。十五才くらいから大人までの話で、ひとりの人を思い続けるところは、恋愛小説としてもステキですし、剣術もいきいきと描かれているし、秘剣伝授の話もあって、すごく好きです。

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