ドラゴン・ティアーズ-龍涙2012/06/23

ドラゴン・ティアーズ-龍涙 
「ドラゴン・ティアーズ-龍涙 池袋ウエストゲートパークⅨ」
石田 衣良・著 文春文庫
家業の果物屋で働きながら、池袋で起こるもめ事を丸くおさめてきたマコト。今ではトラブルシューターとして有名になっている。今回、持ち込まれる相談は、キャッチセールス、ホームレス、出会い系など。時事問題を絡めながら現代社会の側面が浮かび上がってくる。タイトルになっている「ドラゴン・ティアーズ」は、日本の工場に働きに来ている中国人少女が脱走し、1週間以内にみつけないと、一緒に来ている250人が強制送還されるので、捜索を依頼されるマコト。中国系の裏組織“東龍(トンロン)”に近づいて、事情を探るマコトだったが、少女には戻れない深刻な事情が…。
好景気に沸いているように見える中国だが、都市部と農村部には大きな差があります。自由にどこかへ移動(引っ越す)ことができないのです。都会へ出てひと旗上げようなんてことはないのです。西安へ旅行したことがあるのですが、中国の若い女性ガイドさんが、そのようなことを言っていたことを思い出しました。日本ってありがたい国なんだなぁと感じるお話でした。マコトの母がいい味を出しているこのシリーズ、話に出てくると嬉しいです。