369のメトシエラ2011/06/07

369のメトシエラ
「369のメトシエラ-奇跡の扉-」を観てきました。
区役所に勤める武田(大垣知哉)は、人と深くつきあわず、孤独であることが自由でいられると思って暮らしている。ある日、隣室から聞こえてきた子守唄にひかれるように訪ねると、そこには老婆(阿部百合子)がひとりで暮らしていた。彼女は「自分は400年の長きを生き、唄にひかれる人間を待っていた。その人の妻になるために」と言う。
認知症の疑いを持った武田は、役所で老婆の身元を調べてみると、公的な記録がみつからない…。

予告編を見たら、隣の部屋を訪ねて、変なことをいう老婆に会うから、そこは異次元の扉なのかと思ったけど、オカルトっぽいのは雰囲気だけで、そこまで突飛な話ではありません。でも、意外な方向に話は展開していきます。
武田にせまっているゲイの男が、顔がかわいくていいんだけど、セリフの言い方が演劇みたいで、ちょっとシラけてしまいます。武田も彼のことを拒否しつつ、一緒のベッドで寝ていたりするので、理解に苦しむし。他にもツッコミどころは満載なんだけど、この映画の持つ雰囲気が独特で、どうなっていくのかと、惹きこまれてしまいます。映像も美しくて、どこにでもありそうな東京の街が、なんだか違ったものに見えてきます。
タイトルの369は老婆が住む部屋番号で、どうして369なんだか不思議なんだけど、他にも意味があるのかもしれません。メトシエラは旧約聖書に登場する最も長寿であった人物で、キリスト教やユダヤ教で、長寿な者の喩えに使われるそうです。俳優さんは知らない人ばかりですが、みな魅力的です。孤独な若者がいくつかの出会いによって、トラウマを乗り越えて変わっていくというような話だと思いますが、この映画を作った人たちの強い想いやこだわりが伝わってきて、忘れられない映画になってしまいます。

★★★★☆

コメント

トラックバック