トスカーナの贋作2011/03/10

トスカーナの贋作
「トスカーナの贋作」を観てきました。
舞台はイタリアのトスカーナ地方。とても奇妙な内容の映画。
「贋作」という本を出版した著者ミラー(ウィリアム・シメル)が、講演を行なう。講演を聞きにきたフランス女性(ジュリエット・ビノシュ)は、ギャラリーのオーナー。後日ミラーが訪ねて行き、車で出かけることになる。2人は車の中で“本物”と“贋作”についての議論を繰り広げる。車を降りた町でカフェに入った2人は、そのお店の女主人に夫婦と間違われたことをきっかけに、夫婦を装う。まるで演技合戦のようだ。長年連れ添って、すれ違ってしまった夫婦のような感じ。ケンカしたり、距離が縮まったりするのだけど、関係を修復するのが難しくなってしまった夫婦のようである。その町にある教会は2人が15年前に愛を誓った場所になっている。のめりこんでいく夫婦の会話。いったいどうなるのだろうと思っているうちに終わってしまうのだった。

つまらないわけじゃないのです。緻密な計算がなされている映画で、いろいろなことに意味があるのだろうと思います。果たして、私が感じたことが、監督が狙った通りのことなのか、なんだか試されているような気分。どうしたんだこの2人はと思いながら、どんどん惹きこまれていってしまいます。車のフロントガラスに移りこむ街並やヨーロッパ絵画のような郊外の風景。ずっと見ていても飽きない。ジュリエット・ビノシュは色が白くて、相変わらず美しいです。あの服は胸が広く開きすぎていて、ちょっとドキドキしてしまいますね。生活感があって、リアルな女性を演じています。対するウィリアム・シメルは俳優ではなくて、イギリスの有名なオペラ歌手なんだそうですが、とても自然だったし、かっこよかったです。
監督はイランのアッバス・キアロスタミ。他の先品を観て、寝てしまったことがあるので、かなり心配していたのですが、大丈夫でした(笑)

★★★★☆