レ・ミゼラブル2020/03/24



「レ・ミゼラブル」 ヒューマントラストシネマ有楽町
パリ郊外に位置するモンフェルメイユ。ビクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台であるこの街は、いまは移民や低所得者が多く住む危険な犯罪多発地域と化していた。犯罪防止班に新しく加わることになった警官のステファン(ダミアン・ボナール)は、仲間と共にパトロールをするうちに、複数のグループ同士が緊張関係にあることを察知する。そんなある日、イッサという名の少年が引き起こした出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。
サッカーワールドカップ優勝で盛り上がるパリから、話が始まります。エッフェル塔の前に大勢の人が詰めかけて祝っている風景。今の新型コロナウィルスによる外出禁止状態の事を思うと、ちょっと複雑な気持ちになります。
こんなに人が混み合っている事は、今ならありえません。
美しい観光名所で有名なフランスの裏側に、こんな現実があるのかと、驚く内容でした。日本映画でも「万引き家族」は、外国から見たら日本の知られざる部分が出ていたのではないでしょうか。「レ・ミゼラブル」は差別や賄賂が横行していて、警官が権力を笠に着ている様子が語られています。みんなが知っているフランスとは思えないです。子どものうちから、格差や差別によって、憎しみの気持ちが育ってしまうのかもしれません。

★★★★☆ 4-

ジョン・F・ドノヴァンの死と生2020/03/19



「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」 TOHOシネマズ日本橋
2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)が29歳の若さでこの世を去る。自殺か事故か、あるいは事件か、謎に包まれた死の真相について、鍵を握っていたのはジョンと文通していた11歳の少年ルパート・ターナー(ジェイコブ・トレンブレイ)だった。10年後、俳優となったルパートは、本を出版、著名なジャーナリストの取材を受けて、すべてを明らかにすると宣言するのだが……。
「Mommy マミー」「たかが世界の終わり」などで高い評価を得ているカナダ出身のグザヴィエ・ドランが、初めて挑んだ英語作品。
ナタリー・ポートマン、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツ、マイケル・ガンボンが出演していて、なにげに豪華出演陣。
映像も音楽も出演者もとにかくカッコイイです。セクシャルマイノリティがゆえに、思い悩み周囲との摩擦や、母子の関係。特にグザヴィエ・ドラン監督作品では、母とのことがテーマになっていることが多いです。
この映画も、ジョンとスーザン・サランドン演じる母のこと、ルパートとナタリー・ポートマン演じる母とのことが、複雑に描かれています。もちろん愛情を持っているのだけど、思春期や環境の変化などもあり、ぶつかってしまうこともあります。
ルパートが大きくなって出版した本が、どのような本なのか、実際にジョンの死の真相はどうだったのかとか、自分なりの答えはあるけど、ちょっとモヤモヤしました。解釈が合っているのだろうかと。
それにしてもジェイコブ・トレンブレイ君、「ルーム」「ワンダー君は太陽」などで、見てきたけど、本当に名優です。

★★★★☆ 4+

1917 命をかけた伝令2020/03/17


1917 命をかけた伝令

「1917 命をかけた伝令」 TOHOシネマズ日比谷 IMAX
1917年4月、フランスの西部戦線では防衛線を挟んでドイツ軍と連合国軍のにらみ合いが続いていた。若きイギリス兵のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン・チャールズ=チャップマン)の2人が、兄を含めた最前線にいる仲間1600人の命を救うべく、重要な命令を一刻も早く伝達するため、さまざまな危険が待ち受ける敵陣に身を投じて駆け抜けていく……。
ベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロングも出演。
次から次と、試練に襲われます。悲惨な状況の中でも映像が美しかったです。
映画館で観ないと、迫力や臨場感は半減してしまうでしょう。
これから出陣する兵士たちが、じっくりと聴きいっている歌が素晴らしかったです。聖なる歌声という感じ。
「パラサイト」と同時期じゃなければ、この作品がアカデミー賞の最優秀作品賞を取っていたと思います。

★★★★☆ 4+

スキャンダル2020/03/13


スキャンダル

「スキャンダル」 TOHOシネマズ日比谷
アメリカで視聴率ナンバーワンを誇るテレビ局FOXニュースの元・人気キャスターのグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が、CEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)を提訴した。人気キャスターによるテレビ界の帝王へのスキャンダラスなニュースに、全世界のメディア界に激震が走った。FOXニュースの看板番組を担当するキャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は、自身がその地位に上り詰めるまでの過去を思い返し、平静ではいられなくなっていた。そんな中、メインキャスターの座のチャンスを虎視眈々と狙う若手のケイラ(マーゴット・ロビー)に、ロジャーと直接対面するチャンスがめぐってくるが……。
昨今、映画業界でも話題となっているセクハラ騒動。どこかで、誰かが声をあげないと、いつまでも続いていくし、才能があっても、要求に応じないとチャンスを得られないなんて、許せないです。それも女性ばかりが苦労させられて、不愉快になりますね。日本では、これほどひどいこともないと思いたいです。
ジョン・リスゴーが役作りなのか、太っていて、わかりませんでした。
ベースは実話なので、それほど痛快な感じがしませんでした。娯楽作品だったら、女性が協力して、偉い人に立ち向かって、ギャフンと言わせるのでしょうけど、この映画はそれぞれが別な行動をしています。権力者に歯向かうと仕事が続けられなくなるので、そちらに見方してしまうこともあります。それぞれの思惑があるし、リアルに起こったことを想像させます。キャスティングはとても良かったと思います。

★★★☆☆ 3+

プレーム兄貴、王になる2020/03/11


プレーム兄貴、王になる

「プレーム兄貴、王になる」 新宿ピカデリー
面倒見が良くて曲がったことが大嫌いな下町の貧乏役者プレーム(サルマーン・カーン)の願いは、憧れのマイティリー王女(ソーナム・カプール)に会うこと。
ヴィジャイ王子の王位継承式が近づき、婚約者の王女を一目会おうと街へ繰り出したプレーム、その頃、王子が命を狙われ意識不明になっていた。王子に瓜二つだったプルームは、影武者を頼まれる。尊大な王子は、マイティリー王女との間に溝があり、心を開いてくれないし、後継者問題も絡んで、王子の弟妹たちとももめていた。プルームは、真っ直ぐな心で、問題を解決していく……。
「バジュランギおじさんと、小さな迷子」のサルマーン・カーンに「パッドマン 5億人の女性を救った男」のソーナム・カプールが出演して、インド映画好きな人なら、日本でも知られています。私が思うインド映画のイメージそのままで、歌って踊って、豪華絢爛、笑って、グッとくるハートウォーミングな約3時間。期待通りで、楽しかったです。こういうインド映画を見たかったという気持ちです。ソーナム・カプールとっても、美しかったです。

★★★★☆ 4

グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇2020/03/10


「グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇」 丸の内ピカデリー
戦後の混乱期を経て、復興へと舵を切った昭和の日本。雑誌の編集長を務める田島周二(大泉洋)には、何人も愛人がいた。一念発起して愛人たちと別れようと決意するが、彼女たちの顔を見るとなかなか別れ話ができない。そこで田島は、ガサツだが、よく見ると美人の担ぎ屋のキヌ子(小池栄子)に妻のフリをしてもらうことを思いつく。
太宰治の未完の遺作なので、主人公は太宰治のような感じです。女性にもてて、妻子がいるのに、あっちこっちに愛人がいる。
大泉洋さんが演じるとちょっと違うような気もしますが、コメディっぽくなります。
妻は木村多江、愛人たちが、水川あさみ、橋本愛、緒川たまきと、美しい人ばかりです。中心となる女性は小池栄子だけど、わざと違う声を出しているというのが、印象に残る映画でした。戸田恵子が、バッチリメイクしていて、誰だろうと初めは気がつきませんでした。話は、かなり突飛な内容でした。
戦後の風景は良かったし、当時の話し方が、いかにも文学作品らしいです。
もともとは舞台だったせいか、ちょっと大袈裟な感じになっているように思えました。小池栄子さんは、いろいろできる良い女優さんだと思いました。
 
★★★☆☆ 3

架空OL日記2020/03/06


架空OL日記

「架空OL日記」 TOHOシネマズ日比谷
憂鬱な月曜日の朝、銀行員OLの“私(バカリズム)”は、眠気に耐えながらもメイクし、家を出る。満員電車に揺られ、職場の最寄り駅で仲良しの同期マキ(夏帆)と合流。職場に着つくと、後輩のサエや入社8年目の小峰、10年目の酒木も加わり、いつものように更衣室で就業前のおしゃべりに花を咲かせ……。
バカリズムさん、マッチしていて、面白かったです。でも、ちょっと不思議な気分です。OLあるあるも共感できるし、銀行なので、独特なことがあったり、他の会社って、こうなのかなぁと思ったして楽しめました。大事件はないし、腹を抱えて笑うわけでもないけど、ニマニマとして見てしまいます。女性なら、知っている世界かもしれないけど、男性が見たら、OLたちの裏側を知ることができます。
シム・ウンギョンも出演していて、知らなかったので、ビックリしました。「サニー永遠の仲間たち」「怪しい彼女」が大好きです。「新聞記者」でも、日本語うまかったし、今後は日本で活躍していくのかな。

★★★★☆ 4

野性の呼び声2020/03/04


野性の呼び声

「野性の呼び声」 TOHOシネマズ日本橋
地上最後の秘境アラスカに、ひとりでやってきたソーントン(ハリソン・フォード)は、犬ぞりの先導犬としてアラスカにやってきた犬のバックと出会う。やがてソーントンとバックのあいだに友情が生まれ、かけがえのない相棒となっていく。
犬はほぼCGなんでしょうけど、表情があり過ぎるし、動きも漫画ちっくなところもあって、もはやアニメーションって、思ってしまいました。
ハリソン・フォードと犬のバックは、すぐに冒険に出るわけではなく、バックの人生(犬生)が、どんなだったのかが、語られていきます。数奇な運命に導かれて、ぬくぬくと可愛がってもらった場所を離れ、過酷な状況に対応したり、犬同士のコミュニケーションをとったりして、逞しく成長していきます。
これといって悪いわけでもないのですが、すごく感動したということもなかったです。

★★★☆☆ 3

ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方2020/03/02


ビッグ・リトル・ファーム

「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方」 よみうりホール(試写会)
動物カメラマンのジョンと料理家のモリー夫妻は、愛犬トッドの鳴き声が原因で、ロスアンゼルスのマンションを出ることに。体に良い食べ物を育てたいという妻の夢もあって、郊外に引っ越す。荒れ果てた広大な土地で、自然と格闘しながら、究極のオーガニック農場を作り上げる8年間のドキュメンタリー。
監督は、主人公でもあるジョン・チェスター。自分たちのドキュメンタリーを自分で撮っているわけですが、本当に素晴らしいです。自然も動物も共生しあって、人類の理想とはこういうことなのではと思わせます。
トッドをはじめ、動物たちが、丁寧に映されています。数々の困難に、良い方法を考えながら、広大すぎるけど、美しい農場です。その大きさは200エーカー、なんと東京ドーム17個分もあるのです。全てが調和されて、命のサイクルが、農場を作っているのです。91分の短かめのドキュメンタリーですが、見応えあります。
犬のトッドは良い表情をします。子ブタや他の動物もかわいいですし、ミツバチや鳥も、すぐ近くで見ているようです。

★★★★☆ 4+

37セカンズ2020/02/29


37セカンズ

「37セカンズ」 シネスイッチ銀座
脳性麻痺のユマ(佳山明)は、母親(神野三鈴)の世話を受けながら、車椅子で生活している。友人の漫画家のゴーストライターとして仕事をしているが、自立のために、アダルト漫画を描いて編集部に持ち込むと、リアルさに欠けると言われる。
性体験をしようにも、うまくいかず、知り合った女性や介護士のおかげで、外の世界を知るようになる……。
障がいのある人の悩みや現実を描きつつ、お話は意外な方向へ。全体を見ると、とても良い話でした。気がつけば、悲しいわけでもないのに、泣けていました。
ユマは、過保護過ぎる母から自由になりたい気持ちもあるし、もちろん母親は、愛情があって、深く心配しているのがわかります。多くのことを外の世界で、知ることができて、おだやかな気持ちになっていきます。挑戦と成長の物語ですね。
ちょいちょい、ツッコミたいところもあるのですが、面白かったです。
主人公は同じ脳性麻痺の女性で、声がかわいらしく、表情が変わっていく様子が良かったです。

★★★★☆ 4-