黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続 ― 2023/09/07
「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」 宮部 みゆき・著 角川文庫
江戸神田にある袋物屋・三島屋は、一風変わった百物語を続けている。これまでの聞き手を務めてきた主人の姪、おちかの嫁入りによって、役目は甘いもの好き次男・富次郎に引き継がれた。三島屋に持ち込まれた謎めいた半天をきっかけに語られたのは、人々を吸い寄せる怪しい屋敷の話だった。
本としてはシリーズ6冊目ですが、主人公が変わって新章がスタートしました。富次郎は大店の次男で、おぼっちゃま育ち、あまり苦労もした事がないかもしれないけど、人が良いようで、憎めない人です。家族も仲が良さそうです。これまでの関係は生きていて、また新しくスタートするというのは新鮮でした。おちかが良かったけど、まだ不慣れな富次郎が頑張っているのが、伝わってきます。タイトルは「くろたけごじんかごてん」と読みます。4つの話が入っているけど、本の半分以上が黒武御神火御殿なので、他の話は霞んでいきました。この話が恐ろしくて、不思議な話だったから、印象深いです。神隠しのように数人が迷いこんだ場所から、帰れなくなってしまう。どのようにこの人たちが、選ばれているのか、半天との関わりは何か、よく理解できないままだったところもあるけど、面白かったです。おちかもちょっと出てきました。今後の富次郎の成長が楽しみです。
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