櫓太鼓がきこえる ― 2023/05/30
「櫓太鼓がきこえる」 鈴村 ふみ・著 集英社文庫
17歳の篤は高校を中退し、現実から逃げ出すように叔父の勧めで相撲部屋に呼出見習いとして入門。関取はいないし弟子の数も少ない小さな朝霧部屋で力士達と暮らし始める。呼出の兄弟子たちに教えを乞いながらも、本番で四股名を間違えて呼ぶなど、しくじってばかり。焦りや葛藤を覚えながらも、成長していく。
相撲は見ていても、呼出と言う仕事を意識した事がなかったです。確かに四股名を朗々と読み上げている人はいますが、力士達と一緒に生活しているのですね。場所ごとに、土俵を作り上げるのも、呼出の仕事で、なかなかの力仕事です。他にもいっぱいあって、この本を読んでから、相撲中継を見ると、違った目で興味深く見る事ができました。
朝霧部屋の人達も良い人ばかり、初めは相撲の事もよく知らなかった主人公ですが、仕事も好きになり、頑張って行きます。自信がなくて、悪い方に考えてしまうところもあるけど、自主練もして、努力していきます。未熟だけど、心の優しい主人公で、グッとくるところが多かったです。その後、どのように立派になっていくのか、続きが知りたくなります。
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