佐伯祐三 自画像としての風景2023/01/31


佐伯祐三展

「佐伯祐三 自画像としての風景」 東京ステーションギャラリー
大阪、東京、パリ。3つの街で、画家としての短い生涯を燃焼し尽くした画家、佐伯祐三(1898-1928)。
大阪で生まれた佐伯祐三は、25歳で東京美術学校を卒業し、その年のうちにパリに向かいます。作品を見せたフォーヴィスムの画家ヴラマンクから、「このアカデミック!」と怒声を浴びたことが、佐伯を覚醒させます。2年間の最初のパリ滞在中に、ユトリロやゴッホらからも影響を受け、佐伯の作品は大きな変貌を遂げていきます。1年半の一時帰国を経て、再渡欧したのは1927年のこと。このとき佐伯は29歳になっていました。パリに戻った佐伯は、何かに憑かれたかのように猛烈な勢いで制作を続けますが、結核が悪化して精神的にも追い詰められ、1年後にパリ郊外の病院で亡くなりました。
石造りの街並み、ポスターが貼られた壁、カフェなど、短い命を削って、描き続けます。亡くなったのは30歳、更に悲劇なのは、まだ幼い一人娘も一ヶ月後に、パリで亡くなってしまいます。6歳でした。
絵はヴラマンクを彷彿させます。風景の中の人物はササッと描いていて、そこがユトリロみたいです。ポスターにもなっている郵便配達人の絵は、ゴッホにも同じ題材があるので、すぐにゴッホを思い浮かべる人も多いかもしれません。
東京ステーションギャラリーの赤レンガの壁に佐伯祐三の作品があるのが、なんともフィットしています。
いつになく、混雑しているように思いました。佐伯祐三は有名な画家で、日本の各地の美術館で所蔵されているのですが、集まっていて一度に見ることができる機会です。私もアーティゾン美術館の作品は見た事がありましたが、そんない若くして亡くなっているとは知りませんでした。具合が悪くなったきっかけは雨に濡れてしまって、風邪をこじらしてしまったのか、という感じでした。それがひどくなってしまったのか、もっと長生きして、パリの絵をたくさん描いてほしかったです。