うき世櫛2021/09/12


うき世櫛

「うき世櫛」 中島 要・著 双葉文庫
十五にして両親を失った結は、長屋で首を括ろうとしたところを元芸者の女髪結い・お夕に救われた。ほかに生きる道のない結は、自らの不器用さを恨みながら、お夕のもとで修業に励む。だが、贅沢を戒めるお上は、女髪結いの取り締まりを厳しくするばかり。
お夕を師匠として、髪結修行に励むが、一向に上達しない主人公のお結。見ず知らずだった結を引き受け、弟子にして一緒に暮らすお夕は、太っ腹だと思います。貧乏長屋で暮らし、生活も大変です。お結は感謝しているけど、割とずけずけと師匠に意見したり、言い返したりしているように感じました。お結なりに、師匠のお夕の事を思って言うのですが、まだ子どもっぽいところがあります。
時は天保の改革の時代、贅沢を禁じられ、質素に暮らさないとならず、娯楽も制限され、国民はお上を恨めしく思っています。あれ、そういえば、コロナウィルスの蔓延で、今私たちも、いろいろな事を我慢していますね。逮捕されたりはしないけど、国の政策が悪いんじゃないかとか、経済が回っていかないから、景気も良くならないとか考えながら、多くのストレスを抱えています。時代は違うけど、現在に通じるところがあるなぁと思いながら、読みました。その後のお結は、どんな女性に成長したのかなと知りたかったです。

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