十六夜荘ノート2021/06/14


十六夜荘ノート

「十六夜荘ノート」 古内 一絵・著 中公文庫
英国でこの世を去った大伯母・玉青から、高級住宅街にある古い洋館を遺された雄哉。思わぬ遺産に飛びつくが、なぜか屋敷は十六夜荘(いざよいそう)という共同住宅になっていた…。社会からドロップアウトした変わり者たち―40代無職のバックパッカー、タイ出身の謎の美女、ひきこもりミュージシャン(自称)、夢を諦めきれずにいるアラサー美大生―が住む十六夜荘を大伯母はなぜ、雄哉に託したのか。そして屋敷に隠された秘密とは。
玉青の若い時代と、現代の雄哉の生活が順番に描かれています。雄哉は、バリバリ働いているが、会社では浮いているところがあります。雄哉と、個性的な十六夜荘の住人たち、そして玉青が住んでいた時代、兄と玉青や、その仲間たちがいて、2つの時代が、関係なさそうで、繋がっているのを感じます。大伯母の想いが、雄哉にも受け継がれていくのだと思えました。軍服を着た兄、おしゃれな服装の細身、美しくもキリッとした眼差しの玉青など、少女マンガを読んでいるように、絵が思い浮かんでくるような小説でした。