泣き童子 三島屋変調百物語参之続2020/09/09


泣き童子

「泣き童子(わらし) 三島屋変調百物語参之続」 宮部 みゆき・著 角川文庫
三島屋シリーズ第三弾。三島屋伊兵衛の姪・おちか一人が聞いては聞き捨てる変わり百物語が始まって一年。幼なじみとの祝言をひかえた娘や田舎から江戸へ来た武士など様々な客から不思議な話を聞く中で、おちかの心の傷も癒えつつあった。ある日、三島屋を骸骨のように痩せた男が訪れ「話が終わったら人を呼んでほしい」と願う。男が語り始めたのは、ある人物の前でだけ泣きやまぬ童子の話。童子に隠された恐ろしき秘密とは……。
このシリーズ、読むのに少し間があいてしまったので、だいたいは覚えているけど、細かいところがあやふやになってきました。おちか自身の過去をあまり覚えていないかも。百物語といえば、不思議で怖い話が多いですが、夜思い出して眠れなくなるということはなく、良い話が多かったです。短編連作形式で、いろいろな話がありました。「まぐる笛」という話は同じ作者の「荒神」を思い出させる内容でした。
今回は、他の家で催される怪談語りの会に、お客として招かれて、皆で話を聞くというのもありました。
おちかが一人で話を聞くのは、一種のカウンセリングのようになっていると思いました。心に収めきれない怖い体験や、秘密などを誰かに聞いてもらって、語った人が落ち着きます。その為に、良い聞き役として、成長していっています。