おらおらでひとりいぐも2020/07/11


おらおらでひとりいぐも

「おらおらでひとりいぐも」 若竹 千佐子・著 河出書房新社
74歳、ひとり暮らしの桃子さん。24歳の時に東北から上京。 東京オリンピックの年に身ひとつで上野駅に降り立ってから50年。住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。 「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」 40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがる。 捨てた故郷、疎遠になった息子と娘、そして亡き夫への愛。
芥川賞受賞作。
故郷から離れて暮らしているのに、夫亡きあと、故郷の言葉が頭の中に湧き上がって思考しているようです。これは岩手弁と思いますが、独特だけど、意味はなんとなくわかり、とても良い味わいがあります。
タイトルはおらは自分(私)だから、私は私でひとで行く的な意味だと思います。先日読んだ「銀河鉄道の父」で、宮沢賢治のことが気になっていたですが、この言葉は賢治の詩「永訣の朝」にも出てくるのです。それも、ローマ字で書かれています。だから、宮沢賢治と関係があるのかなとも思ったのですが、そうでもないようです。永訣の朝は亡くなりゆく妹の言葉なのかな、この本ではひとりで強く生きていくということかもしれません。
そして映画が公開します。沖田修一監督、面白いので、どんなに感じの映画なのかと、手に取ってみました。映画よりも先に原作を読む派です。
しかし、読んでみても映画化はどういう方向になるのかと想像しにくい内容でした。だから、余計にどういう風になるのかと見たくなりました。2020年秋に公開するそうです。田中裕子さん主演で、若い頃の回想シーンがあるので、そこは蒼井優さんが演じるそうです。主人公桃子さんの人生を振り返り、現在の心境を整理していくような気もしましたけど、ちょっとボケってきていないかと妄想か、何なのか、老いとはどういうものかと考えさせられます。

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