はなとゆめ2020/02/23


はなとゆめ

「はなとゆめ」 冲方 丁・著 角川文庫
清少納言は28歳にして帝の后・中宮定子に仕えることになる。内裏の雰囲気に馴染めずにいたが、定子に才能を認められていく。やがて藤原道長と定子一族との政争に巻き込まれ……。
ちょっと内容が想像するのは難しい話ではあったけど、女性の立場から、いろいろな考えが描かれていて、作者は男性だけど、女性が書いたような雰囲気がしました。清少納言がまだそのように呼ばれていない頃から、枕草子を描く背景や、人間関係、政治に翻弄される様が、美しい文体で描かれていました。この時代は、本当に歌の意味を理解する読解力が必要だし、古い歌もたくさん知っていて、その時の自分の気持ちを歌で表さないとならないので、すごい大変に思いました。
歌だけを送って、気持ちをくんでもらうって、正しく理解しない人もいるのではないかと思っていまいます。通じ合っている人とは、それだけで深く理解できるようです。逆にだらだらと書くよりも、真意がわかってもらえるのです。
清少納言が、ずーと昔に書いたものが、今でも読まれているのですから、すばらしい表現者だったと思います。その才能を見出してくれた方が、若いのに崇高な人です。今となっては真実はわからないですけど、これを読むと藤原道長を嫌いになります。

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