雪まろげ 古手屋喜十 為事覚え2019/08/13



「雪まろげ 古手屋喜十 為事覚え」 宇江佐 真理・著 新潮文庫
浅草は田原町で小さな古着屋を営む喜十は、北町奉行所隠密廻り同心の上遠野(かとの)のお勤めの手助けで、東奔西走の毎日。店先に捨てられていた赤ん坊の捨吉を養子にして一年、喜十の前に、捨吉の兄が姿を現した。
シリーズ第2弾。前作「古手屋喜十 為事覚え」で、家の前に捨てられていた赤ん坊を育てることにした喜十夫婦。特に妻のおそめは、ものすごく赤ん坊をかわいがっていて、すっかり子どもも懐いていきます。捨吉が喜十の家に来たいきさつや、他の兄弟たちも、いろいろな事情や苦難があったことがわかります。
喜十は、特別できた男でもなく、気分もむしゃくしゃしたり、勝手なところもあるのだけど、ごく普通の人というのが良いですね。そんな喜十の日常の中に、起こる事件に関わっていきます。うまく良い方向へいくこともあるし、どうしようもないこともあります。
作者の宇江佐真理さんが、亡くなってしまい、このシリーズは2冊で終了です。話は短編連作なので、一応の終わりになっていますが、まだまだきっと、続きの構想はあったのだと思います。捨吉の兄弟たちのその後や、捨吉の成長など、どんな話がこれから展開されたのかなぁと思うと、ちょっと残念です。
雪まろげとは、雪の小さな塊を積雪の上に転がしてだんだんと大きな塊にしていく、雪ころがしの遊びのことなのですね。この言葉を知りませんでした。

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