グブラ・ムクシン2019/08/12



「グブラ」 シアター・イメージフォーラム
前作「細い目」の数年後、オーキッド(シャリファ・アマニ)は、結婚していて、父の入院をきっかけに夫の裏切りに気づく。一方、町の反対側にある低所得層が暮らす地域では、若いイスラム教聖職者とその妻が、近隣者の困難に向き合う。2組の夫婦の姿を通し、オーキッドの結婚生活の幸福と不幸を浮かび上がらせていく。
オーキッドシリーズに2作目で、「細い目」を見ていないと、ちょっとわかりづらいかもしれません。「細い目」では、初々しかったオーキッドも、結婚して、大人になっています。でも、父の入院でオタオタ、ドタバタとします。家族は仲良しだけど、結婚は失敗だったのかと思って見ていました。「細い目」のジェイソンに比べると魅力がない夫と結婚してしまったのか、ジェイソンの兄との関係は?と心配しながら見ました。青春時代は過ぎて、人生の悲哀があるのと、もう一方の話は、イスラム聖職者の近くに住む娼婦たちの話で、あまり救いがない感じもしました。オーキッドのその後がわかって良かったです。

★★★☆☆ 3+

「ムクシン」 シアター・イメージフォーラム
オーキッド(シャリファ・アルナヤ)10歳、ムクシン(モハマド・シャフィー・ナスウィップ)12歳。夏休みに出会った2人は、すぐに仲良くなり、親友のような関係になる。毎日会って、自転車で出かけたり、サッカー観戦に連れて行ってもらったり、楽しく過ごすが、やがてムクシンはオーキッドに淡い恋心を抱くが、家族の事情により、別れが近づいていた……。
オーキッド3部作の3作目にして、逆に一番昔の話になっています。オーキッドの幼い頃のことがわかる映画で、10歳のオーキッドが、前2作もっと大人になっているオーキッドに似ていてビックリです。と思って調べてみたら、オーキッド役だったシャリファ・アマニの実の妹が演じていました。
こちらの作品はいわば幼い子どもたちの初恋の話で、郷愁を誘う子ども時代の風景や、子どもから大人になる微妙な年頃の気持ちが瑞々しく描かれています。独立した話としても楽しめます。でも「細い目」を見ていると、その主人公たちが出てくるシーンがあって、断たれてしまった2人の関係が、実は違う世界では結ばれていたのかと思えました。パラレルワールドの別の世界のように感じます。
幼い頃に出会ったムクシンもとても良い子で、ずっとそばにいたら、オーキッドの恋人になっていたのかもしれません。いろいろな未来があったように感じる映画でした。ムクシンを演じているモハマド・シャフィー・ナスウィップは、高校生になってヤスミン・アフマド監督の遺作である「タレンタイム」に出演しています。
「タレンタイム」はシリーズとは別ですが、共通する内容がありますし、出てくる役者さんが、他の作品同様かぶっていますので、ヤスミン・アフマドを中心に劇団のように違う公演のしているような、ファミリー的な雰囲気です。「ムクシン」のラストには、監督、家族、スタッフなどの楽しそうな映像があります。

★★★★☆ 4

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