はだれ雪2019/05/13


はだれ雪 上


「はだれ雪」上・下 葉室 麟・著 角川文庫
扇野藩士の夫を不慮の事故で亡くし若くしての後家となった紗英は、江戸から配流されてきた旗本・永井勘解由(ながいかげゆ)の接待役兼監視役を命じられる。この年、江戸城内で赤穂藩主浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつける事件が起きた。勘解由は浅野の切腹直前、“最後の言葉”を聞いたという。その行いが将軍綱吉の機嫌を損ね、流罪となったのだ。だがある日、浅野家国家老大石内蔵助が密かに訪ねてくる。勘解由に惹かれていた紗英は、自らの立場との間で揺れ動く……。
「散り椿」と同じ扇野藩が舞台で、忠臣蔵のサイドストーリーのような話でした。
主人公は女性の紗英で、流罪になって扇野藩預かりとなった勘解由の世話をします。武士の妻らしく、何事も落ちついて毅然とした魅力的な女性です。勘解由の人柄に触れ、惹かれていくようになります。
しかし、赤穂浪士が勘解由に接触したことにより、敵討ちが実行された場合は、勘解由の処分がどうなるかもしれません。
気持ちを伝えるのに、古い和歌を書いたりするこの時代、文学の素養がないと、何を言いたいのかわからないだろうと思います。ましては和歌をどのような状況で書かれた和歌なのか、たくさん知っていないとなりません。
勘解由と紗英は、すぐに心を思いやって、初めからしっくりいっているように思いますが、状況が許されないのです。赤穂浪士の話も、特に大石内蔵助の人柄などがよくわかって、とても面白かったです。
六義園がこの時代にできて、今でも残っているのが、すごいと思いましたし、他にも根岸の豆富料理のお店「笹乃雪」って、この時代からあったの?とビックリしました。笹乃雪は、前から名前は聞いたことがあったけど、行ったことはなかったので、今度行ってみたいなぁと思いました。