Spice -映画・本・美術の日記-

「山怪　山人が語る不思議な話」　田中　康弘・著　山と渓谷社

山で暮らす人々は、ときおり奇妙な体験をする。狐火や正体不明の足音、死者との遭遇など。著者が交流のある秋田・阿仁のマタギたちや、各地の漁師、山で働く人々から聞いた実体験をまとめたもの。

狐にばかされるとよく言うけど、そういうことが実際に各地で起きたりしているのだと思いました。山や自然に意志があって、人をあやつっているのかもしれません。深夜の山小屋に訪ねてくる足音などは、亡くなった人の霊のようなものかと思います。短いエピソードがたくさんのっていました。そんなに怖いという感じではなくて、不思議な怪現象があるのだと思いました。亡くなった方や、小さい頃に神隠しにあった人など。子どもの足では到底行けないような場所でみつかったりします。

世の中には証明できないことが、起きています。それは特に奥深い山の中で起きていたりします。

そういうのを囲炉裏端で語りあった遠野物語のようなものが、だんだん失われていって、語り継ぐことが難しくなった昨今です。山にまつわる伝承や禁忌、信仰など、先人の知恵を受け継ぐことが必要です。