82年生まれ、キム・ジヨン2019/04/14


82年生まれ、キム・ジヨン

「82年生まれ、キム・ジヨン」 チョ・ナムジュ・著 筑摩書房
ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかの様子のキム・ジヨン。
誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児……キム・ジヨンの人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。
韓国で社会現象になり、映画化も決定しているフェミニズム小説。
韓国と日本は似ているところがあるので、この小説の中で、主人公にふりかかる、女性の苦労がよくわかります。優秀でも男性が常に上であったり、セクハラをうけたり、少し前の時代よりは良くなったと思いますが、まだまだあると思います。
82年生まれの主人公だとしたら、もっと男女均等になっていてもおかしくないのに、これが現実なのかと改めて思います。キャリアウーマンで、出産のために仕事を続けられずにくやしい思いをする女性は、今でもいっぱいいます。優秀な女性ほど、この本に共感するのではないかな。
日本社会も政治家や会社役員など、まだ女性の方が少ないです。ハリウッドだって、男性俳優の方がギャラが高いと女優たちが声をあげている昨今です。
韓国の場合は男性には兵役があるので、日本とはまた違うのでしょうけど。自分の体験をふりかえる小説です。その体験の感情をなんと上手く表現していることでしょう。男性には悪気はなかったり、良い人もいっぱいいるとは思うのです。この小説の中のキム・ジヨンの夫だって、優しくて理解のある方だと思いました。
女性であることの理不尽さを、わかりやすく訴えかける本でした。

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