彼が愛したケーキ職人2018/12/05


彼が愛したケーキ職人

「彼が愛したケーキ職人」 YEBISU GARDEN CINEMA
ベルリンでケーキ職人をしている青年トーマス(ティム・カルクオフ)は、イスラエルから出張でやってくる妻子ある男性オーレン(ロイ・ミラー)と、いつしか恋仲になる。しかし突然、オーレンからの連絡が途絶えてしまい、故郷のイスラエルで事故死したことを知る。衝撃を受けたトーマスは、エルサレムへ行き、事実は隠したまま、オーレンの妻アナト(サラ・アドラー)の経営するカフェへ客として訪れる。人手が必要になったそのカフェで雇われることになったトーマスは、雑用のかたわら、クッキーや菓子を焼くと、その美味しさが評判になる……。
冒頭から、とってもおいしそうなケーキが出てきました。トーマスの作るお菓子やパンはどれもおいしそうでした。純粋にオーレンと愛し合っていたことが伝わってきます。夫を亡くしたアナトもまた喪失感を抱えていて、トーマスとの距離が近づいていくのだけど、どうなるのって感じで、目が離せません。
イスラエルは、ユダヤ人が多く、ドイツ人に抵抗もあるし、お店の認可の関係でトーマスはオーブンは使ってはいけないとか、人種や宗教の違いが大きかったです。
みんなが幸せになってほしいと思うけど、秘密にしている関係が複雑だし、見ている方は双方の気持ちがわかって、せつないです。冷静に考えるとオーレンはドイツで浮気していたわけだし、それが女性で元妻を見に来たのなら、もっとグチャグチャな話になってしまいそうだけど、トーマスはアナトを助けているように見えます。同じ人を愛した者同士なのです。
アナトを演じるのは「運命は踊る」で見たばかりのサラ・アドラーでした。監督はイスラエルの若手監督オフィル・ラウル・グレイツァという人です。「運命は踊る」も気に入ったし、イスラエルの映画って、面白いなぁと思いました。

★★★★★ 5-