恋人と呼ばせて2018/07/23


恋人と呼ばせて

「恋人と呼ばせて」 メアリ・H・クラーク 新潮文庫
検事補のケリーは、交通事故にあった娘を連れていった診療所の待合室で、信じられない光景を目にした。診察室から出てきた女性が、十年前に関わった事件の被害者そっくりだったのだ。翌週にも、同じ顔の別人が来ていて、整形外科医が、同じ顔を作っているのか、疑問に思い始める。十年前の事件について、調査を始めると、刑務所に収監されている犯人とされる被害者の夫は、無実の可能性が浮かび上がってくる……。
ケリーの元夫が弁護している脱税事件や、高価な美術品の泥棒、ケリーの娘への脅迫など、いろいろな事件が関わり、複雑になっているのですが、だんだん話がつながっていきます。メアリ・H・クラークの小説の主人公はだいたいが、頭脳明晰な美女のような気がします。最後に出てくる意外な犯人というもパターンなので、登場人物のうち、どれが犯人なんだろうと、疑って読んでしまいます。
日本の小説と違って、複雑な人間模様が、ちょっと面倒に思うこともあります。どれが誰だったのか、名前の呼び方が愛称になったりして混乱します。