乾山晩愁2018/03/08


乾山晩愁

「乾山晩愁」 葉室 麟・著 角川文庫
天才絵師尾形光琳が没して以来、弟の尾形乾山は陶工としての限界に悩んでいた。追い討ちをかけるように、二条家から与えられた窯を廃止するとの沙汰が下る。光琳の思いがけない過去が、浮かび上がろうとしていた…。
2017年12月に葉室麟さんが亡くなって、悲しいです。その葉室さんのデビュー作です。「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しています。
尾形光琳の美しい絵は、ファンも多いと思いますが、人柄については私はよく知りませんでした。この話は光琳が亡くなった後の話ですが、光琳のこともよくわかります。遊び人で浪費家だったみたいで、女遊びが激しかったと知って、ショックでした。弟の乾山は絵師でもあり陶工としても有名ですが、真面目な人のようです。
短篇集で、他の話も戦国から江戸の絵師たちの話でした。とても面白かったです。
尾形乾山、狩野永徳、長谷川等伯、清原雪信、英一蝶の話でした。
名前は知っていても、どんな絵を描いている人かはよく知らなかった人もいるし、興味が湧きました。今はネットで画像も検索できるから便利です。英一蝶の話「一蝶幻景」が印象的でした。
絵師同士のつながりがあったり、松尾芭蕉や井原西鶴など、有名人も出てきて、時代背景がわかります。忠臣蔵にも関わりがありました。
絵が好きな人には良いと思います。今後、展覧会などで、絵を見ることがあれば、今までとは違った思いで見ることができそうです。