涙堂 琴女癸酉日記 ‐ 琴女癸酉日記2017/07/23

涙堂 琴女癸酉日記 ‐ 琴女癸酉日記
「涙堂 琴女癸酉日記 ‐ 琴女癸酉日記」 宇江佐 真理 講談社文庫
(なみだどう ことじょきゆうにっき)
主人公は45才の琴。同心だった夫が先立って、末息子・賀太郎と日本橋通油町で同居を始める。賀太郎は侍を捨てて浮世絵師となっているが、なかなか売れっ子のようである。琴には5人の子どもがいるが、長男は父親の跡を継ぎ、娘3人はそれぞれ町方役人の家に嫁いでいる。日本橋通油町には、琴の幼なじみ(男性2人)が住んでいて、親しんでいる。日々の暮らしの中で、琴は日記のような覚え書きを書いている。小さな事件や息子の恋、夫の死の真相など、連作短篇形式で、語られていく。
45才で孫もいる女性が主人公の時代小説というのは、珍しいと思いました。江戸の暮らしがわかって、面白かったです。時代は変わっても、現代に通じるような、もめ事はあるし、近所での助け合いや、浮世絵師の生活など、興味深いことが多かったです。そして、ラストの話「涙堂」にはグッときました。