錦の松・なでしこ日和2017/04/18


錦の松

「錦の松 着物始末暦六」 中島 要・著 ハルキ文庫


「なでしこ日和 着物始末暦七」 中島 要・著 ハルキ文庫

一膳めし屋のお糸は、大店の若旦那との結婚話が持ち上がるも、長年の想い人である着物の始末を生業とする職人・余一を忘れることができない。
余一も、お糸のことを想うゆえに、自分の気持ちを隠して結婚を勧めていた。お糸と夫婦になれない理由を告白し、あきらめてもらおうとする…。
「なでしこ日和」の方は、やっと想いが通じた若い2人だが、今度はお糸の父があいつの一緒になるなら、親子の縁を切ると言う…。

このシリーズの中心は余一なんだろうけど、語り手は、余一以外の誰かなので、余一の本当の気持ちはなかなかわかりません。着物に関しては、鋭いのに、余一のことを慕っている人の気持ちには気が付かない、鈍感なところがあります。しかし、いつも筋は通っていて、男らしいのです。続きが楽しみです。

午後8時の訪問者2017/04/18

午後8時の訪問者
「午後8時の訪問者」 ヒューマントラストシネマ有楽町
若き女医ジェニー(アデル・エネル)。まもなく、大きな病院に迎えられる予定だ。今は知人医者の代わりに小さな診療所を診ている。病院から歓迎パーティーの連絡電話を受けているときに鳴ったドアベル。しかし、時間は午後8時過ぎ、診療時間はとっくに過ぎていた。応じようとする研修医をジェニーは止める。
翌日、警察がやってきて、診療所の近くで身元不明の少女の遺体が見つかったと聞く。午後8時過ぎにドアホンを押している姿が監視カメラに映っていた少女が、遺体となって発見されたのだった。ジェニーは罪悪感から少女の顔写真を携帯のカメラに残し、時間を見つけては少女の名前を聞いてまわる。
少女は誰か、事件か事故か、なぜジェニーはドアを開けなかったのか。
貧困者が多い地区で、社会問題をおりまぜつつ、人間心理を鋭くえぐる話でした。
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督作品は、今まで見たことはありませんでした。明るい題材ではないけど、夢中になって見ていました。ジェニーはとても一所懸命に患者と対応していて、時間外や往診など、忙しく働いていました。事件のことで、心境も変わっていったようです。
少女のことを聞きこみしていることで、危険な目に合うのではないか、味方になるような人もいないし、あまりに無防備なので心配してしまいます。診療所で2人きりになってしまうこともあるし、往診で呼び出されることもあるから。マンションの玄関でドアベルを押してオートロックをはじしてもらうシーンが多い映画だと思いました。
ジェニーはいつも同じチェック柄のフード付きコートを着ているのだけど、それがステキだなと思いました。でも、美しい人が着ているから良く見えてしまうだけかも。
ジェニーの後悔や葛藤、事件の真相など、静かな映画ではあるけど、引き込まれました。

★★★★☆ 4+