藏 上・下2017/03/28

蔵
「藏 上」「藏 下」 宮尾 登美子・著 角川文庫
新潟の旧家、蔵元の田乃内家に生まれた娘、烈。家族の希望をうけて成長していくが、小学校入学を前に、失明にいたる目の病を患っていることを知る。病弱な母のかわりに、叔母の佐穂に愛情をそそがれて成長する。田乃内家をおそう数々の悲劇をくぐり抜け、気丈に家族を奮い立たせて、蔵元を継ぐことを決意する…。
とても面白かったです。列が生まれる前から話は始まり、父・意造や叔母・佐穂を中心に話が進んでいきます。現在は女の杜氏もいるけど、酒蔵には女性禁制があたりまえだった時代、目の病を抱えながらも、強く生きた女性の話でした。父の気持ちもわかりますが、どうにも空回りしているように思います。そんな父を説き伏せていくほどに成長していく烈が、初めはわがまま娘と思ってたけど、だんだん頼もしく思えてきました。
酒蔵の仕事風景も良かったです。そして、なんといっても、全編を貫く新潟弁が心地よく響きました。わかりにくく感じる方もいるかもしれないです。今ではこういう話し方はしないのではないかと思えます。酒をつくっている戦前の田舎の旧家の生活ぶりが興味深かったです。

春の雨2017/03/28

ハンバーガーショップ窓際の席が好きです。
雨が降ったり止んだりするこの頃です。春は雨が多いですね。