姫椿2017/03/05

姫椿
「姫椿」 浅田 次郎・著 徳間文庫
8篇からなる短編集。1つ目の「シエ」という話が印象的でした。飼い猫が死んでしまったOL。偶然入ったペットショップで、シエという不思議な動物を見せられる。顔は麒麟、角は鹿、尾は虎、鱗に被われている。預かったものだが、取りにこないので、保健所に持って行くと聞き、連れて帰ることにした。辞典によると、善人と悪人の判別ができる中国の伝説上の生き物であるらしい。心優しい人の苦労はむくわれると思える話でした。
表題の「姫椿」は借金返済に行きづまり、自殺によって支払われる保険金で妻子を守ろうと決意した会社社長が、死に場所を探し求めるうちにすっかり忘れていた光景が飛び込んできた。20年以上前、今の妻のアパートに転がり込んでいた場所に行き、2人で行った銭湯「椿湯」がまだやっていて、暖簾をくぐると。番台の老人に話しかけられる。人間の再生と家族の絆描いた話でした。
大人のファンタジーでした。あんまりハッピーではない話もあったけど、短い話なのに、どれも深みがありました。タイトルの姫椿って、どういう花か調べてみたら、小さい頃住んでいた団地の庭によく咲いていた花でした。椿ということはわかっていたけど、姫椿だったのかと初めて知りました。