あの日の声を探して2015/04/15

あの日の声を探して
「あの日の声を探して」 よみうりホール(試写会)
1999年ロシアに進攻されたチェチェンで、9歳のハジ(アブドゥル・カリム・ママツイエフ)は、目の前で両親が殺されるのを目撃する。トラックに乗せてもらって街へ避難してきたハジは、EU職員のキャロル(ベレニス・ベジョ)に拾われ、家に連れて来られる。戦争のショックで何も話さないハジだったが、キャロルに少しづつ心を開いていく。一方でごく普通の若者コーリャ(マキシム・エメリヤノフ)が軍隊に入隊させられ、戦闘に身を投じていく過程が同時に描かれていて、戦争の悲惨さが映し出されていく。心を閉ざしたハジ、人間性を失わなければ、耐えることができないコーリャ。どちらも戦争の被害者である。
「アーティスト」のミシェル・アザナビシウス監督で、同じく「アーティスト」主演のベレニス・ベジョがキャロルを演じています。今回の映画はコミカルさはありませんが、不満ではないです。重いけど良い映画でした。チェチェンだけではなく、今もテロや紛争は絶えません。罪のない市民が巻き込まれているのです。ハジを演じたアブドゥル・カリム・ママツイエフは、オーディションで選ばれた演技未経験の子だそうですが、セリフを言わなくても、彼の悲鳴や恐れが伝わってきました。

★★★★☆ 4