夜の床屋2015/01/19

夜の床屋
「夜の床屋」 沢村 浩康・著 創元推理文庫
山道で迷って、深夜に無人駅に辿りついた大学生の佐倉と高瀬。野宿を余儀なくされる2人の前に、駅前の床屋が深夜に営業を開始したことに気がつく、こんな時間に?好奇心を抑えられず、恐れつつも店に入ると…。
短編連作形式の小説は、最近は多いけど、この本はもうひとひねりあります。佐倉という男子大学生が中心で、周囲で起こり不思議な事件を体験し、その謎が解けて1話づつ終了していきます。佐倉がそれほど推理を働かせるわけではないです。1つ1つの事件は、奇妙なものばかりで、表題作の床屋の話、ベッドの下の絨毯が寝ている間に何者かに盗まれた話、ドッペルゲンガーを探しに行く話など。軽い読み物という感じで読み進んでいくと、いつしかスコットランドの監獄の世界にドップリと浸っているのです。その話を読み終え、エピローグを読むと、そういえば自分は佐倉クンが体験した話を読んでいたんだっけと、不意に思い出し、それらが全てつながっていた事を知るのです。

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