ぬけまいる2014/05/19

ぬけまいる
「ぬけまいる」 朝井まけて・著 講談社
一膳飯屋の娘・お以乃。譜代の御家人の妻・お志花。江戸で有名な小間物屋の女主人・お蝶。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」で鳴らした3人が、それぞれの思惑や鬱屈を胸に秘めて、仕事も家庭も捨ておいて、お伊勢詣りに繰り出すことに。 途中、トラブルの連続で、その都度、知恵と工夫で、乗り越えていく。
3人が性格も容姿も立場も違っていて個性的です。得意分野がそれぞれにあって、生かされています。初めはお以乃が主人公かと思ったら、3人共が中心になって話が展開していきます。途中に出会う人に、お世話になったり、助けてあげたりする話が、とても良いのです。
この作者の小説は、時間経過が独特です。急に数日が過ぎていて、あれこの後はどうなったのかなと思うと、後日談として語られたりすることが多いです。そこが、ちょっと気持ちが付いていかないこともあるのですが、話はメチャクチャ面白かったです。
当時の旅行の様子がわかります。江戸から伊勢まで歩いて行くっていうのは、今では考えられないけど、昔の人はこういう風に旅をしたのかと興味深いです。急ぐ旅ではないので、何日も留まったり、そこでお金を稼いだりします。お伊勢詣りは今も人気ですが、形は違っていても昔から受け継がれていることを感じました。

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