恋歌2014/04/16

恋歌
「恋歌」 朝井 まかて・著 講談社
幕末の江戸、裕福な商家の娘・登世は想いをかなえて水戸藩士のもとへ嫁ぐ。しかし、藩内の抗争が激化して、過酷な運命に翻弄される。
後に明治の歌塾「萩の舎」を主宰した中島歌子の生涯を描く。
一途な恋愛物語であるけれど、不条理な運命を受け入れなければならなかった藩士の妻や子どもたちのことも描かれています。そのあたりは、ちょっと読むのがキビしいのですが、感動しました。
淡い恋や、小姑との確執、親身になってくれる爺やの存在など、いろいろなエピソードがあります。桜田門外の変や、天狗党の乱、歴史とその陰で起こったことを知ることができました。
中島歌子の手記を門下生の三宅花圃が読むという形になっています。その手記を記した意図が最後にわかるようになっています。

中島歌子の歌。
君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ
(恋することを教えたのはあなたなのだから、どうかお願いです。忘れ方も教えてください。)

今まで、朝井まかてさんの本では、関西弁や長崎弁を美しく感じましたが、今回は水戸の言葉が多く登場しました。私の父が茨城出身なので、身近に感じる話し言葉でした。