ま・く・ら2014/01/18

ま・く・ら
「ま・く・ら」 柳家 小三治・著 講談社文庫
“まくら”というのは落語の本編に入る前に、ちょっとした話をする、いわば落語のイントロ部分なんです。世間話であったり、自己紹介的なものの時もあり、これから話をする本編の説明に近いものもあるのですが、噺家さんの力量が問われる部分かもしれません。観客の気分をほぐして、話に入っていきやすくしたり、逆に噺家さんが観客の反応を見て、どのように話すかを決めたりするのかもしれません。
柳家小三治さんはまくらが面白いとか、まくらが長いと有名なんです。実際に話した内容をまとめたものがこの本です。長い話もあるので、本編を話せなくなってしまうのではと心配してしまいますが、独演会などだと、時間があるのだと思います。
一番、気になる話は、小三治さんの借りている駐車場に居ついてしまったホームレスのことです。バイク好きな小三治さんはバイクを4台所有していて、乗用車1台分をバイクの駐車場として借りているのです。そこで寝起きしている、長谷川さん。ちゃんと挨拶してきたり、整理整頓したり、きれい好きだったりする。師匠の方は追い出すわけでもなく、寝ているところをバイク出すのに遠慮したり、対応ぶりが可笑しいです。小三治師匠が、どういう人か、あまり知らなかったんですが、いろいろなエピソードがあって、楽しかったです。バイク好きとか俳句の句会をやっている、海外での話とか、好奇心旺盛で、凝り性な一面がわかります。