月島慕情2013/11/18

月島慕情
「月島慕情」 浅田 次郎・著 文春文庫
短編集です。「月島慕情」は大正時代の話で、三十過ぎの吉原の女が恋する男に身請けされることになる。しかし、男の真実を知った太夫はある選択をする。
どの話も短いながらも、深い味わいがありました。でも「インセクト」という話の中で北海道から出てきた大学生が、はじめて見た昆虫を珍しがって飼い始めるのだけど、それがゴ○○リみたいなんですよ。文章だけでも、これはちょっとムリって思っちゃいました。戦争の悲惨さが垣間見える話もあります。
良かったのは「シューシャインボーイ」です。最後に靴磨きの少年の話で感動させてくれるのかなぁと読み始めたら、競馬の馬の名前なんで、あれあれと思ったけど、その裏には深い話がありました。
浅田次郎さん本人による作品解説も付いていて、これは珍しいと思いました。しみじみとさせてくれたり、深い感動を与えてくれる小説を書く浅田次郎さんですが、エッセイを読むと別人かと思えるんです。ちょっと本人の語り口が味わえて、どうしてこういう小説を書いたのかを明かしてくれています。

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