街の灯2012/11/03

街の灯
「街の灯」 北村 薫・著 文春文庫
昭和7年、士族の令嬢、女学生の英子。専属運転手として、新しくやって来たのは別宮みつ子。英子はベッキーさんと呼ぶ。別宮はこの時代の女性には珍しい車の運転をするだけじゃなく、度胸は据わっているし、いろいろなことに精通している人物。
英子のまわりで起こる事件の謎解きを手伝う。「謎解きはディナーのあとに」風に聞こえるかもしれないけど、そこはちょっと違っていて、別宮はあくまでも目立たず、推理もひけらかさず、脇役に徹している。
上流階級の生活は馴染みがないので、別世界な感じがしてなかなか進みませんでした。でも銀座はこうだったのかとか、時代描写が興味深いです。
タイトルの「街の灯」はチャップリンの映画と関係あるのかなぁと思ったら、最後に出てきました。英子の兄が「街の灯」はトーキーで撮っていないことを惜しむのです。弁士の必要な無声映画では、後世に残らないというような発言をするのだけど、そんなことはないですね。「街の灯」は今でも素晴らしい映画です。そして、後の時代にも残っていく映画でしょうね。