疑心 隠蔽捜査32012/06/25

疑心 隠蔽捜査3
「疑心 隠蔽捜査3」 今野 敏・著 新潮文庫
アメリカ大統領の訪日が決まり、大森署署長の竜崎伸也警視長は、羽田空港を含む第二方面警備本部長に任命される。所轄の署長である竜崎にとっては、組織の序列を無視した異例の抜擢であった。アメリカからシークレットサービスが先にやってきて、日本人がテロを企図しているという情報がもたらされる。そして竜崎のもとに補佐役として美しい女性キャリアの畠山がやってきたのだが、彼女のことが気になってしかたがない。今までに感じたことがないような狂おしい恋心を抱いてしまうのだ。シークレットサービスのハックマンは、大統領の安全のために空港閉鎖を要求してくる、竜崎はテロを阻止して難局を乗り切れるか…。
シリーズ3作目です。この説明だけだと竜崎のことがわかりにくいかもしれませんが、竜崎はキャリアだが、息子の不祥事で大森署署長へ左遷人事されている。
規律や合理性を優先するあまり、変人と思われている。あまり人間味のない人のようなんだけど、この3作目は自分でも制御できないような恋をしてしまい、経験がないだけにうろたえてしまう。警備本部長として手腕をふるわないといけないのに、夜もよく眠れない始末。しかし、平静を取り戻し始めると、合理的に考えて、問題解決にあたっていく。1,2作目から出ている他の人たちもいい味を出しています。特に竜崎の部下である刑事課の戸高。上司には媚びず、常に反感を持っているのかと思えば、竜崎のことは認めているような。いつもへらず口をたたくのに、嫌いじゃないような感じが伝わってきます。
メンツや手柄を重んじる警察内部の中で、冷静で理論的な竜崎の考え方は、納得できることが多いです。会社も同じだと思うのです。目的を遂行することが大事であって、部署ごとに対立してもしょうがないのです。壁などを取り払って、皆が協力できるようにすること、それができる人が良いリーダーですよね。