キリマンジャロの雪2012/06/13

キリマンジャロの雪
「キリマンジャロの雪」を観てきました。
マルセイユに住む熟年夫婦・ミシェル(ジャン=ピエール・ダルッサン)とマリ=クレール(マリアンヌ・アスカリッド)。夫のミシェルは労働組合の委員長として気骨あふれる活躍をしていたのだが、リストラにあって職を失ってしまう。元同僚たちと家族をまじえたパーティーの席で、結婚30周年のお祝いとして、子どもや弟たちがアフリカ旅行をプレゼントしてくれて、幸せいっぱいの2人だった。しかし数日後、家に遊びに来ていた弟夫婦と共に強盗事件に遭ってしまう。後に犯人はミシェルと一緒にリストラにあった青年だということがわかる。事件のショックで怒りやとまどいがあった夫婦だったが、犯人の青年が2人のまだ幼い弟の面倒をみていて、困っていたことを知ると、複雑な気持ちになる…。
タイトルの「キリマンジャロの雪」はフランスでヒットしたシャンソンの歌のタイトルだそうです。劇中で歌うシーンもあり、キリマンジャロは憧れの地のようです。リストラはくじ引きで決定するんだけど、労働委員長のミシェルは自分の名前を除外できる立場にいるのに、公平にやったために自分が当たってしまう。そのことを妻に話すと、妻が怒るのではなく、粋な言葉を発するのだ。この2人がお互いに信じ合って、愛し合っていることがわかる。
リストラをくじ引きで決めて当たってしまうところは、どこかで聞いたことがあるような。アキ・カウリスマキの「浮き雲」ですね。共通するところもあり、決して豊かではないけれど、ささやかな幸せがある市井の人々の生活を描いているのです。でも、そこはフランス、日本人から見たらすごく素敵な生活だと思えます。まずは南仏の明るい太陽のもと、孫たちと海に遊びに行ったり、みんなでバーベキューをしたり、ワインやブイヤベース、テレビでサッカー観戦。日常の風景からこの地での生活ぶりがうかがえます。そんなにお金はなくても、心は豊かな生活をしていると思えます。青年は理解してくれたのかとか、もっと描いていてほしい点もありますが、あまり語り過ぎないのが、いかにもフランス的です。
ミシェル役のジャン=ピエール・ダルッサンは「サン・ジャックへの道」「画家と庭師とカンパーニュ」という映画で、見たことあったけど、あれれよく見たら「ル・アーヴルの靴みがき」のモネ警視役の人ではありませんか。特徴的な髪型があちらの映画では見えてなかったから、気がつかなかった。やはりアキ・カウリスマキと縁があるのですね。

★★★★☆

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