ジーヴスの事件簿 才智縦横の巻2012/06/05

ジーヴスの事件簿 才智縦横の巻
「ジーヴスの事件簿 才智縦横の巻」 P・G・ウッドハウス・著 文春文庫
20世紀初頭のロンドン。人は良いが、知性に欠く金持ちの青年バーティは、新しい執事を雇う。やってきたジーヴスは落ち着いた物腰で博学。バーティのかかえる問題を冷静に分析して対処する。バーティの友達までジーヴスを頼ってくる。
短編形式になっていて、読みやすい文章でした。面白かったです。
「謎解きはディナーのあとで」のように事件を推理するのではなく、バーティや彼の周囲で起こる問題事を、解決してくれる。バーティにふさわしくないと思うことなら、バーティの希望は無視することも。しかし、結果的には良かったとか。
バーティの一人称で語られるのだけど、1つの話だけがジーヴス目線で書かれていて、ご主人様に完璧に仕えるというのではなく、自分が働きやすい環境を作っていることがわかります。でもジーヴスの言うことを聞いていれば間違いない気がしてくるから不思議です。ご主人様と執事の心温まる話というのではありませんが、ウィットに富んだ小説です。この時代のイギリスの習慣も面白いし、バーティにいろいろ命令してくるアガサ叔母や惚れっぽい友人のビンゴなど、脇役もわかりやすいキャラクターです。
他の本も出ているようなので、読みたいと思いました。