相剋2011/03/01

「相剋-警視庁失踪課・高城賢吾-」(堂場瞬一・著)中公文庫
主人公はタイトルの通り、警視庁失踪課の高城賢吾。捜査一課から協力要請がきて、事件の目撃者が連絡を絶ってしまったので、捜し出してほしいという。筋違いと主張する高城を制し、上司の阿比留は他の署員に捜査を命じる。同じ頃に友人の少女が失踪したと相談に来た少年がいた。高城がそちらを調べてみると、親の態度に違和感を感じる。少女は家出しているだけで、よくあることだという。他の友人に聞くと、少女は家出するようなタイプに思えない。親族以外の捜査願は受理できないのだが、高城は自身が娘を失っているという過去があり、非公式に調べ始める。

一見、つながりのない事件が、実は関係があるという、わりとよくあるパターンです。綿密に調べるという点と少女の父親が何を考えているのかよくわからないので、なかなか先が読めず、主人公と同じように読者もヤキモキとさせられる。そのせいか展開が遅く感じられてしまいました。
このところ、警察の小説をよく読んでいるのですが、この小説は珍しく女性の同僚が多いです。現実の警察も昔に比べると女性も増えているではないかと思いますが、他の本は男の職場という感じのものが多いです。上司も女性で同僚にも若い女性がいるというのは、ちょっと新鮮でした。