ひとがた流し2010/08/26

ひとがた流し
「ひとがた流し」(北村薫・著)を読みました。
簡単に言うとアラフォー3人の友情物語なんですが、どこかにありそうな話のように見えて、心の絆のあり方を見せてもらえる貴重な本です。
アナウンサーの千波、作家の牧子、元編集者で写真家の妻となった美々は、学生時代からの友達。牧子と美々は離婚を経験、それぞれ一人娘を持つ。千波は朝のニュース番組のメインキャスターに抜擢される。しかしその矢先に思わぬ事態が…。
ささやかな生活の中には、人生の苦悩があり、人を思うおもいやりがある。
この3人を巡る、本人や周囲の人たちが、章ごとに語り手を変えて、綴られていきます。
美々の夫だったり、娘だったり。はじめはとっつきにくいと思ったのですが、読み進むうちにどんどん惹きこまれてしまって、最後は“涙”でした。
なにげない日常を描くことが、なんて上手な作家なんでしょう。小説の中にちりばめられた心に残る言葉がいっぱいありました。

この本からの一言
「人が生きていく時、力になるのは自分が生きていることを切実に願う誰かが、いるかどうか」