私が語りはじめた彼は2010/08/10

私が語りはじめた彼は
「私が語りはじめた彼は」(三浦しをん・著)を読みました。
1人の人間を、まわりのいろいろな人が語った話。
その人は歴史を専門とする村川教授で、彼の弟子、息子、娘の婚約者
など、かかわりのある人が語り手となる。
女ったらしなんだけど、特別に目立った外見でもなく、不真面目な人と
いうわけでもなさそうなんだけど、まわりの人間は、深く傷ついたり、
振り回されたりしている。
彼は妻とは離婚し、新しい家庭を築いているようだが、彼のせいで、
皆が幸せになっていないような気もする。
本人の語りはないので、どう思っているのかは理解しにくい話だった。
文章はメチャクチャ上手い作家だと思うのだけど、なんだか嫌悪を覚
える内容もあるし、面白くて良い内容もある。
彼の息子が語る「予言」という章と、再婚相手の連れ子を監視している
調査員が語る「水葬」という章が印象的だった。