終のワインを2010/07/11

終のワインを
「終のワインを」(滝下恵子・著)を読みました。
「ついのワインを」と読みます。短歌の歌集です。

この歌集は、美しい日本語で書かれていて、読んでいてとても心地
良いのです。
こういう日本語をあやつれる人って、少ないと思います。
あまり短歌に詳しくないもので、ちゃんと理解していないところもあると
思います。
家族との別れや、病気のことなどを歌ったものがあります。
ヨーロッパを題材にした歌などもあり、おしゃれな雰囲気の歌もいっぱい
あります。

印象に残った歌をあげてみますと、

“百合といふ名をもつ母が命終の床に枯葉の一葉となる”

ぐっときました。


“おびただしき死を載せゐたる新聞がこともなく来る朝にゆふべに”
“そして六十ニ回目の忌がやつてきて何もかはらぬ核積む地球”

自分たちは安穏と生活しているんだけど、世界(地球)では、危機的
なことが、今なお起きているんだってことを思い起こさせます。

タイトルはこの下の歌からとったと思われますが、この表現も美しい。

“クリスタルグラスに真つ赤な薔薇が咲く終のワインを注がむか 姉よ”