ホテル・クロニクルズ2010/04/14

ホテル・クロニクルズ
「ホテル・クロニクルズ」(青山真治・著)を読みました。
那覇、ワイキキ、金沢、ソウル等のホテルが出てくる短編集なんだけど、
小説なのか、実話なのかがわかりにくい、いやむしろ妄想なのかなぁ。
著者は映画監督であるせいか、ゴダールみたいな観念的な映画を見てい
るような気がしてくる。
主体が唐突に変わってしまうことが多く、受け入れられる人と受け入れ
難い人がいると思う。
普通の小説と比べると読みづらいが、決してつまらないわけでもなく、
先が読めないのでドキドキする。官能的な部分も多いけど(かなりエロ
いです)、常に“死”が近くにあることを思わせる。

印象的だったのは「白猫」という話。好きでもないはずの取引先の相手と
横浜グランドインターコンチネンタルホテルで関係を持ってしまったこと
で、忘れられない存在になるという話なんだけど、男が出ていった後の
「いままで生きてきて、最も淋しい三分間」について語られる。
なんか先日見た映画「ニューヨーク、アイラブユー」の中の話を思い出し
てしまった。映画ではお互いタイプじゃないと思っている男女が寝たこと
で、相手のことが頭から離れなくなってしまう話。でもこの本では、映画
とは全く違う展開が待っている。だいたいなんで、タイトルが白猫なんだ
ろうと思って読んでいると、だんだん納得させられてしまう。